わすれ物
母がタクシーに乗って、財布を忘れた
座ってホッとした時に忘れたのだと思う
財布には7万入っていた。その時に
膵臓癌のステージⅣであった、まるで
人生を惜しむように間際に旅行したり
財布を忘れた時もバタバタした時であった。絶対に出て来ないとアタシは思った
が、それが次に乗った人が交番に届けてくれたみたいで詳しい事はわからないが
当人の元に届いた。葬式だの手続きでお礼が遅くなってしまったが、お礼の手紙
と姉妹と本人と話合って商品券かでお礼をしたのだと思う
当人は『アタシは普段の行いがいいから
戻って来た』どこまでも前向きな母だと
アタシは思った。
亡くなって、ああしておけば良かったとか後悔ばかりで、あの時に財布を届けてくれた方には感謝しかない
と、行いが良かったからと言うのも母が言えば本当にそうであったのかも知れない
10代で見合いで結婚し、夫はサラリーマン、義理の母と共に、暮らし、商売を手伝って夫は筋肉が弱る難病を患い
看取り、義理の母を看取り、同時進行で私達3姉妹を女手で育てた。義理の姉からは意地悪されたりと、まるでドラマのような母の人生であった。77歳で亡くなった。だんだん母の年齢に近づいて行く
ふと昨日、出かけてトイレに入り、ホッとしてバックを忘れそうになりそんな事を思い出した