万座温泉 日進館の外に露天風呂があり そちらにチェックアウト後に入る 雪景色を背にし 私は黙々とシャンプーの空きボトル3㎝に湯花を湯口の上の箱に手を突っ込みなど箱横についた湯花取りに必死になっている 先客はいなくなり 同時期に入浴して来た60代 後半の方が心配気味に質問を してくる 何かヘラを持ってないの？ 無いんです 暫くすると車のキーを浴槽の上にブラブラさせた 普通ならよく考えたら驚く場面なのだが あまりに湯花に夢中になり頭に入ってなかった 横に首を振っただけのリアクションになったが 風呂は裸で入るし 誰も車のキーなどロッカーに置いておく 筈である 親切な方であった 赤の他人がこれほど気にかけてくれるのに 本当の母親みたいにムゲな態度を取り 後から 反省した 親切な方であった ミニシャンプーボトルは口が 小さくうまく入らず イライラしたが夢中になりすぎてしまい 2つのミニボトルを湯花で満杯にした頃に やっと露天風呂から出ると旦那さんは 車の 洗車をしていた 足回りがドロドロになり錆びてしまうらしい 私は黙々と湯花取り 旦那さんは黙々と洗車 何という事でもなく 当たり前にやっていた が 旦那さんは免疫力が弱いから調子に乗ると すぐ風邪を引く 人混みの中では必ず もらってくるから手洗いうがいは欠かせない それはそうとずっと 露天風呂で気にしてくれた人は知らない内にお風呂から出てしまっていたようだった 鍵は？何故お風呂に？ ハテナが頭の上にいくつも 出来ては消えていった また 日進館でお会い出来るだろうか？優しい目を忘れられない 感じがいい人だった
